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2007.11.28 悲しくて…
昨日の夕方、テニスの試合に向かう途中のこと。
交差点の赤信号で車が止まろうとしていたときだった。

車道の真ん中を前方からトボトボ歩いてくる5歳ぐらいの男の子がいた。

ダッカでは物乞いに出会うのは日常だ。
特に大きな交差点は物乞いたちの仕事場なので、
信号待ちや渋滞で止まると、次から次と物乞いたちがやって来る。

皆にあげているときりがないので、
うちはドライバーにお金を渡してあって、
彼が独自の判断で施しをしている。

見ていると、大抵は病気の人や重い障害を負っている人にあげているようだ。
健康そうな大人、そして子供にはあげない。

特に子供は、うしろに大人がついている場合がほとんど。
それは親方みたいな人だったり、実の親だったり。
子供の方が同情をかいやすいから利用する。
お金は全部大人が巻き上げてしまうのだ。

物乞いをする子供の方も手馴れたもので、
結構したたかな子供も多い。
小憎らしい子供もいる。

でも、中には子供らしい子供もいて、
白い歯をみせてにっこりする笑顔がかわいい子もいる。

昨日見た男の子は、そのどちらでもなかった。

真剣に物乞いするでもない。
車から車へ歩く足取りもおぼつかない。

だから、なんとなく気になった。

なにかがおかしい。
目が離せなくなった。

近づいてきたその子の顔を見ると、涙の跡が。
どこか痛そうでもある。

「だいじょうぶかしら?病気じゃないのかしら?」

うちの車のそばで止まって、物乞いをしているようだ。
でも、声もほとんど聞こえない。

無気力。

彼のあまりにも悲しそうな顔に、胸が痛む。

いつもは決して子供にはお金をあげないドライバーも、
さすがにかわいそうに思ったのか、その子にお金をあげた。

「母親にぶたれたんですよ…。
 あっちの方に座っていて、稼ぎがないと殴るんです。」


信号が青に変わって、車が動き出した。

もうその男の子は見えなくなったが、
その子の顔が忘れられない。

ぐっと我慢していたけど、だめだった。
涙が溢れてしかたなかった。

悲しくて、悲しくて…。


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